コンテクスト・シンキング

コンテクスト思考で課題解決!

2015年の日本的選挙戦略について考えてみる。

テレビで統一地方選の結果を見ながら「選挙戦をどう戦うのが良いのだろうか?」とぼんやり考えていました。もちろん、文脈を読むことから始まるわけなので、これはコンテクスト・プランニングの演習問題みたいなモノです。

 

そこで、どこまで有効かはわからないのですが、日本にピッタリな選挙戦略があるのではないか?と考えてみました。

 

さて、ソーシャルメディアの歴史を語る上で外せないのがオバマさんの選挙戦の話しです。詳しくはこちらを。

matome.naver.jp

 

これが今から3年前。とにかく、若い世代へリーチすること、資金を調達することなど、明確な目的を持って運用されています。日本に転用した場合、法律の問題などがあるのかもしれませんが、地方の選挙でソーシャルメディアの活用が上手な人は少ないです。成功例があるので、真似してみれば良いのにな、と思います。

 

そもそも、大統領選にメディア戦略は欠かせないものなのですが、故に、ソーシャルメディアを使うのもごく当たり前のことだと思います。さらに、遡ってみましょう。

books.google.co.jp

 

特にメディアがチカラを持つ時代になってからは、広報戦略は選挙にとって大変重要な位置にあることがわかります。それは、いろいろなところを回って握手して、みたいな「草の根的」な活動の話しではなく、もっと大局を捉えた戦略の話しです。

 

 

そこで、考えみます。

まず、選挙戦において勝つためには「たくさんの票を獲得すること」が必要です。なのですが、この「たくさんの票を獲得する」ということをもっと丁寧に考えないとなりません。すごく当たり前のこと言いますけど、これを丁寧に実行すれば、かなりの確立で勝てるのではないかと思います。

さて、たくさんの票を獲得する=選挙で勝つ、とはどういうことかを丁寧に見ていきましょう。

1つは、「得票数」の問題です。

→他の候補者よりも1票でも多く獲得しないと勝てません。

そして、もう1つは、「投票率」の問題です。

→例年60%あれば良い方です。

つまり、現在の選挙を考えると、「選挙権を持つ60%の人のうちの何%を味方に付けるか?」によって、選挙の勝敗が決まる、ということになります。

 

そして、投票率と得票数から求められるのが、「得票率」です。これで、選挙の勝敗を言い換えれば、「得票率が最も高い人が勝つ」ということが成り立ちます。選挙で勝つためには、どの候補者をも差し置いて、自分の「得票率」を上げれば良いのです。

 

では、どうしたら良いのか?ですが、答えは、「選挙に行こう」と訴え続ければ良いのです。つまり、「選挙に行こうよキャンペ—ン」をします。もし僕が候補者の戦略担当だとしたら、コレやりますね。なぜ、選挙に行こうと訴えるのか?ですが、そのためには、そもそもなぜ、選挙に行かない人たちがいるのか、ということを考えないといけません。

 

選挙戦は、1週間くらい前から始まります。その1週間で自分をアピールするわけです。ですが、皆同じ感じです。違いがわからない。何をもって候補者の中から一人を選んで良いかわからなくなります。結果、政治に無関心になります。

 

そこで、「選挙に行こう」と言い続けるとどうなるか?を考えてみます。

そもそも、「選挙に行こう」という内容のメッセージであれば、選挙戦にはカウントされないのではないかもしれませんね。となれば、変な話し、今から次回の選挙を目指して実施しても良いくらいです。

 

さて、仮にAさんが、候補者だとして、以前から「選挙に行こう」をスローガンに活動していたとします。それゆえAさんは、選挙に行かない人と積極的に出会う必要がありそうです。その方達に選挙に行かない理由をちゃんとヒアリングしないとなりませんね。その結果、政治に対しての興味や関心の持ち方がわからないとか、候補者の主張の違いがわからないとか、彼の気持ちがいろいろと見えてくるでしょう。

そこで私は、選挙権を持つ人が投票したくなるよう、つまり、共感してくれるように、政治や市政の話しを、その方々にお話しし続けることなります。その結果、政治や市政に興味を持つ人が確実に増えたとしましょう。

 

こうなれば、もう当選確実です。

例えば、ある市の場合、先の統一地方選では、投票率は約6割で、最終的に勝った候補者の得票率は40%でした。投票数を仮に約2万票とします。得票率が40%であれば、総投票数は、5万票です。よって、この地域の有権者の数は、約83,300となります。仮に投票率を5%上げることができれば、総投票数は、4165票のアップとなります。で、この増えた分の約4200票は分散しません。「選挙に行こう」キャンペーンを行っていたAさんに入ります。おそらく4000票は獲得できるかと思います。勝った候補者の20%分を獲得できるのです。10%投票率を上げれば、勝った候補者の得票数の40%相当を獲得したことになります。「なぜ、Aさんに投票すると考えるのか?」と言われれば、「なぜなら、Aさんが政治や市政に興味関心を与えてくれたからです」とお答えします。

仮に自分が逆の立場にあったとします。あなたが政治に興味がない人物だとしたら?そして、政治について教えてくれる候補者がいるとしたら?、その人の話しに共感して、投票しよう!と決めた時、きっとあなたが選ぶのはその候補者ではないでしょうか?

つまり、「選挙に行こう」というのは、実は、候補者本人が言うのが一番理にかなっているのです。それは主義主張を発信するよりも私は重要なことだと思っています。私は、そもそも4割以上が選挙権を放棄していることをまるで無視しているかのように動いていく選挙という仕組みに違和感を覚えています。そのことから逃れず、政治に興味や関心が希薄な人たちとのコミュニケーションを実践していくことが大切です。それがうまく行けば、選挙という仕組みで、皆がハッピーになれる可能性が高まるのです。政治に関心を持つ人が増えれば、本当によりよく変わっていくのだと思います。

 

つまりは、選挙戦は「投票してくれない人にこそ働きかけるべき」なのです。風が吹けば桶屋が儲かる的な話しでありますが、大義のために訴える、実に、日本的な選挙戦略と言えると思います。

確実に票を取りたければ、誰も手をつけないエリアに一番最初に踏み込むべきなのです。このような戦略があってこそ、世の中を良い方向に変えることが出来るのではないでしょうか?そして、選挙の勝敗の要因とは、外にあるのではなく、自分がすべきことを実践できたか、にかかってくるのだと思います。