コンテクスト・シンキング

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ロジカルシンキングで共感を得る方法ーその②「共感の土台」を作る。

前回は、共感を得られない理由について考えた。

今回は、共感を得るための準備、土台作りについて考えてみる。

 

家づくりもそうだが、やはり、肝心なのは土台作りだ。劇的ビフォワーアフターでも、リフォームしながら、基礎工事をやり直すように、しっかりした基礎の上でなければ家が立たない。同様に、しっかりした土台が無ければ、共感のための筋が立たなくなる。

 

「共感できない」という状況を、前回話した「心位置」のイメージで伝えると、元々フラットな状態で、相手と相対した時に、心位置は二人の真ん中にある。けど、言葉を発するに連れて、心位置が相手側に転がり、シーソーは傾き、相手側にべったり転がった後には、耳辺りの良い言葉からは何一つ共感を得られない。むしろ、胡散臭さまで発してしまうものだから質が悪い。大義を最後に言うのは、最大にダメ行為なのだ。

 

原発には反対だ。これからは自然エネルギーに転換すべき。僕たちの未来にはクリーンなエネルギーが必要だ」

 

これは、前回用いた上記の文章だが、言い方を変えてみよう。

 

「僕たちの未来にはクリーンなエネルギーが必要だ。太陽光、風力発電など、様々なクリーンエネルギーが生まれている。そういったエネルギー開発を進めて行くことが必要だろう。その点からは、私は原発には反対だ。

 

3つの文章を逆にして、合間を埋めて変えてみたのが上の文章だが、共感を得るためには、実は、この宣言系のフレーズ自体、見直した方が良い。では、どうするか。それが土台作りということになる。音楽で言えば通底低音。最初に同意を得る「何か」を探すことだ。

 

「これからのエネルギー、どうしたらいいのだろう。火力、風力、水力、原発、いろいろあるよね」(自分発)

 

燃やせば二酸化炭素が出ることは小学生でも知ってる。原発を支持する人は少ない。このご時世にそれを言い切れるタフさをどの程度の人が持っているのだろう。水力はダム問題があるものの、小水力を始め、もう一度注目されているのも事実。そして、風力は、まさにクリーンエネルギーなので、そこになんとか導きたいものだ。(全部、心の声)

 

『火力は二酸化炭素出るし、原発はないでしょ。そうなると水力か風力か、いや、太陽光やガス発電なんてのもあるよね』(相手発)

「そうだねぇ。必要なエネルギー量の問題はあるにせよ、このご時世、原発はないよな」

『まぁ、ないよね』

 

こんなやり取りができたら100点だけど、共有できるところを探しながら話していくことで、少なくとも「原発には賛同できないよね?」という方向性自体を共有できるのではないだろうか。

(ここでの説明は、この一文そのものではなく、あくまでもたとえ話として聞いてください)

 

つまり、最初のステップは、「同じ土俵に乗ること」なのだ。

そこには、現在の風潮なり、一般論であり、よく聞くフレーズを並べて、自分たちの立ち位置が同じところにある、という状況を共有することが大切なのである。この共有こそが共感を生み出す「土台」となるのだ。

 

言い換えると、土台とは「共通認識」なのだ。自分の立ち位置を明確に示し、それを言語化し、お互いに確認しあうことが大切。そして、あなたは土台と結果は結びついていることを忘れてはならない。自分自身は、結果が見えていて、その結果に導くためのスタートラインこそが、土台でなくてはならない。

 

これを整理してみよう。

 

まずは、共感を得るために必要な話し方は、

①ゴールを見定める。②逆算してスタート(=土台)位置を見いだす。③スタート位置を言語化し共有する。④共有状況を確認しながら階段をあがる。

 

ということになる。では、共感を得られない話し方の一例としては、

①ゴールを言語化する。②共有状況を確認せずに、スタート位置に階段を降りて行くように話しを進める。

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共感を得るには、⑦に注目しても①から言語化する。

→②→③→④→⑤→⑥→⑦

 

つまり、話しの展開は、①から⑦へ向かう。

 

逆に共感を得られないのは、⑦を言語化する。

①→②→③→④→⑤→⑥→

 

話しの展開は、⑦から①へ向かっている。

 

*うっかり途中から話し出してしまい、相手がポカーンとする場合もあるが、その時は、①に戻ることが必要。

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ということになる。

何も共有していないところからスタートしたら、どんな言葉も響かない。つまり、共感なんて得られない。共感の土台となる立場、意見、感情、どんなことでも良いので、相手と何かを「共有」するプロセスを通ることで全てが始まるのだ。

 

実は、共感をテーマにした最初の投稿で、「大義が必要」と言った理由はここにある。大義は共有しやすい。だからこそ、大義が大切なのだ。しっかりとした情熱を持ち、大義を語ることから初めてみてはいかがだろうか。

 

ただし、この共有できる「大義」にも作り方がある。
耳障りの良いことを言うのが大義ではなく、物事の本質を見抜く目が必要となる。本質を見抜くのに、「センス」が必要みたいな言い方をされることもあるが、アレはウソだと思う。センスなんて必要はない。考え抜くことは技術に他ならない。「考え抜くための考え方」があるわけだが、それはまた別の機会にお話したい。